職人のまち加賀

人/九谷焼/前田 昇吾 氏にフォーカス!

人/九谷焼/前田 昇吾 氏にフォーカス!

石川県の特に南加賀エリアの多くの小・中学校では、授業の一環で地元の伝統工芸である九谷焼を学ぶ機会があります。

そんな幼少期の陶芸体験がきっかけで九谷焼のロクロ師として活躍することになった前田 昇吾 氏を今回はご紹介します。

京都伝統工芸大学校を卒業後、石川県加賀市にUターン。九谷焼作家でロクロ師の 山本 篤 氏に師事し、㈱妙泉陶房へ就職しました。

9年間、ロクロの主に型打ち成形技術を学んだのち、現在は山代温泉にある九谷焼窯跡展示館に勤務。作品づくりのほか、来客者の方々にロクロ体験(コロナ禍の現在は休止中)の指導や館内解説をしながら九谷焼の魅力を日々伝えています。

展示館内のロクロ場

ーロクロ作業を見学

~原料への想い~

ちょうど、ロクロ作業中だったので見学させていただきました!

九谷焼は磁器でできており、その原料である石のほとんどはお隣小松市で採れる花坂陶石です。

花坂陶石は比較的鉄分が多く、焼くと少し青みがかった色になるのが特徴

前田氏含めほとんどの九谷焼作家、職人たちは、この陶石を高品質な粘土に仕上げてもらったものを分けてもらっているそうです。

「この原料(粘土)がなければ、九谷焼の作り手であるロクロ師や絵付師は何もできない集団になってしまうんです。だから、限りある貴重な粘土を丁寧に扱っています」

頼みの製土所が数年前に大雪被害で危機に陥った際、粘土の供給が一時ストップした経験から、そうしみじみ語って下さいました。

ちなみに、ロクロ作業で余分となった粘土は綺麗にして再利用することもあるそう。

こちらでは機械ではなく手で粘土をもんで空気を抜いているので、比較的柔らかく仕上がるそう

仕入れた粘土は揉んで空気を抜きす。これは、焼いた時に割れにくく頑丈にするためだそうです。

実際に展示館で前田氏が使っている粘土を触らせてもらいました。

「耳たぶくらいに柔らかいですね…!」

衝撃を受けて、前田氏にそう伝えると、

「実は、以前の修行先で使っていた粘土はもっと固かったんです。20キロくらいの土で大きい作品をロクロでひいていた篤さんは凄いと未だに思います」と、気さくに教えて下さいました。

ーロクロ作業を見学

~伝統技法「型打ち」~

片栗粉を振りかける様子

前田氏は伝統技法の「型打ち」で作品作りをします。

作りたい型にピッタリはまる大きさにロクロで素地をひいたら、表面に白い粉をふりかけました。

実はこれ、片栗粉なんだそう…!

片栗粉をカーゼ生地で包み、 上を輪ゴムのようなもので止めてありました。

パン作りでいう打ち粉のような感じでしょうか。素地と型をくっつけて再度ロクロを回すので、出来上がりで外す際に取りやすくするためだそうです。

キノコのようなかたちをした型に素地を被せる
それをひっくり返して電動ロクロの台に乗せる

型にはめたらロクロを廻すのですが、ここからが型打ち技法の難しいところ。

素地の厚さは基本均等にひいてあるんだそうですが、型より大きすぎたら回すと遊んでしまうし、小さかったら粘土が引っ張られすぎて外側に広がってしまうといいます。

また、ロクロを回しながら表面をより整えていく際、素地の表面は見て触れられるけど、内側は型が入っているため見えません。

なので、どこまで薄く整えるか?厚さは均一なのか?

そんなことが目では分かりづらいんだそうです。指の感覚のみ。まさに職人の領域です。

余談ですが素朴な疑問として、ロクロって目が回らないのか気になりますよね。

目が回らないようにするコツをお聞きすると、

”全体をふわっと見るようにすること

だそうです。ロクロ体験をする際は実践してみたいですね。

指の感覚で薄さを揃えながら回す

綺麗に厚みを揃えたら、いよいよ見学する側としては一番見ていて面白い工程に差し掛かりました!

「弓」という大きな糸ようじのような道具で、縁を型に合わせて切っていくのです!!

チャンスは1回。なんせ一周でキレイな縁模様が出来上がるのですから見逃せません。

できればカットする側から撮りたかった…!
それ位、見ていて気持ちの良い光景でした

これ、どうやってロクロの本体から外すんだろう…

と思っていたら、前田氏はスピーディーに水を含んだハケで高台の表面を塗りぬり。素焼きしたプレートのようなものをそこに被せたかと思うと、ヒョイッとひっくり返して出来上がりを見せて下さいました!

台となるプレートをのせる様子
ヒョイッとひっくり返して完成したものを見せてくれました
写真手前が型打ちする前のもの。奥が型打ちした後のもの

ひと回りキュッとして綺麗に整えられた型打ち後の作品を見て、

「こうやって仕上がりを見ると、あんなに柔らかかった粘土が固そうに見えますね

と思わずいうと、

「いや、やっぱり柔らかいのでこうやって一部を切るとバランスを保てず、クニャッとなりますよ~」

と、サクッと断面を一部カットして見せて下さいました…!

「ほ、ほんとだ~!そして、素地の厚みが均一ですね!」

私に説明するために大事な作品の一部をカットして、断面を見せて下さいました。
有難うございました

型打ちされた素地はその後、かたちを更に整えて乾燥させてから800度で素焼きされます。

素焼き後は釉薬という焼くとガラスのようにピカッと光る液体をかけます。

前田氏が生み出す作品は、 「淡雪釉」 という優しい白色の釉薬で仕上げているのが特徴なんです。

そして今度は1,300度まで上げて焼く本焼きをしたら出来上がります。

ー作陶におけるこだわり

「僕の作品は絵がないものなので、”絵がなくても魅せれる形”を意識して作っています。ただ薄いだけ、軽いだけでなく、口当たりや手になじむ形・盛り付けやすい形や大きさなども意識し、使いやすい器を作るようにしています」

出来上がった前田氏の作品。(画像提供:ギャラリー結 )

シンプルだからこそ手仕事が光る存在感のある作品。

料理や場所を選ばない前田氏の器は、数多くの作家さんからの素地製作依頼があるそうです。

例えば、前田氏の作品も販売するギャラリー結さんのネットショップで見つけた、前田氏がひいた素地に他の作家さんが絵付けを施した作品がこちら。

ロクロ師である前田氏の裏印と、絵付け作家さんの裏印の2つが入った作品

作品の裏印に、絵付け師さんの印と共に前田氏の「昇」の裏印がしっかりと入っています。

前田氏の作品を手にとって”いいな”と思わせるのは、お客様だけではなく他の職人さんも同じようです。

また、加賀九谷陶磁器協同組合に所属する伝統工芸士でもある前田氏。

組合が企画する作家展にも度々作品を展示販売しています。

今年、阪急うめだ本店で開催された展示会の様子。白い「淡雪釉」が映える前田氏の作品たち

最後に今後の展望についてお聞きしました。

「コロナ禍でこれまでのような展示会やイベントができにくくはなっていますが、作品を発表する場があれば少しずつでも作品を出して色んな方に見ていただける機会を増やしていきたいと思います」

高い技術が必要な型打ち技法を継承する、ロクロ師であり九谷焼作家でもある前田氏。

今後も目が話せない若手作家のひとりです。

加賀商工会議所のマスコットキャラクター商子ちゃんが伝える、

「PLUS ONE!」情報のコーナーです☆

九谷焼のほとんどの原料の石として前田氏がご紹介されていた「花坂陶石」を小松市立博物館でGETしてきました♪

石のまち小松市と言われているだけあって、お土産用に小瓶販売をしていて驚きました!

石の破片に触ってみると、やっぱり石なだけあって硬かったです。指についた指紋の隙間に入るくらい細かい石の白い粉末は、サラサラで手の水分がもっていかれる感覚がしました (笑)

小松市にある「九谷セラミック・ラボラトリー」でも詳しく花坂陶石について学べるのでオススメですよ♪

ー取材メモー

前田 昇吾

九谷焼窯跡展示館

住所 加賀市山代温泉19-101-9

TEL 0761-77-0020

営業時間 9:00~17:00(ただし入館は16:30まで)

定休/休館火曜(ただし祝日・振替休日の場合は開館)12/31・1/1

前田氏に会うなら→九谷焼窯跡展示館★☆HPはコチラ☆★

作品をネットで見るなら→ギャラリー結★☆ネットショップはコチラ☆★

★☆この取材時の前田 昇吾 氏のYou Tube動画はコチラ☆★

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