めぎすの浜煎り

器 九谷美陶園
山と海に囲まれた加賀市は、昔から農業や漁業が盛んでした。浜煎りは漁師が漁に出た時、船の上で海水を使ってその場で調理し、手軽に食べていたものだそうです。塩水で煮煎りにするだけなので生臭いイメージがありますが、実際はカラッとしていて、身もはがれやすく、食べやすい庶民的な家庭料理です。「めぎす」はこの地域の呼称で、形が「キス」に似ているところからつけられた「ニギス」が一般名です。
材料(4人分)
 めぎす(ニギス)  8尾  塩  50g
 水  200cc
作り方
1. めぎすをしばらく塩水につけてから水で洗う。
2. 割り箸を敷いた鍋にめぎすを並べ、塩水をひたひたになるくらい入れ、強火にかける。
3. 煮立ってきたら中火にし、しばらく煮る。
4. 火が通ったら塩水を捨て、水分がなくなるまで空煎りにする。
5. ざるなどに並べる。家庭で食べる場合には、一日おいた方が味がしみておいしく食べられます。

かもりと打ち豆の含め煮

器 山下一三
「かもり」はこの地域の呼称で、「冬瓜(とうがん)」または「かもうり」のことです。旬は初夏から夏にかけてですが、丸ごと冷暗所に置いておくと冬までもつということからついた名前です。水分が豊富なので体熱を下げる効果もあり、昔から夏ばてに良い食べ物といわれています。淡白な味なので、皮をむいて、ふろふき、でんがく、鶏そぼろ煮、スープなどにしたり、くずあんをかけてもおいしいです。
材料(4人分)
 かもり  600g  削り節  8g
 厚揚げ  100g  酒  小さじ 1
 打ち豆  15g  みりん  小さじ 1
 昆布  8g  しょうゆ  大さじ 2
作り方
1. かもりを4cm角の大きさに切り、皮をむいて面取りし、塩水にしばらくつけてからゆでる。
2. 昆布は水で洗ってから、結んで適当な長さに切る。
3. 厚揚げを油抜きする。
4. かもり、結び昆布、厚揚げ、打ち豆を入れてだし汁を入れ、調味料を入れて煮しめる。

たくあんのふるさと煮

器 池島保雄
昔はどこの家でも晩秋になると干し大根をたくさん作り、たくあん漬けにしました。たくあんは冬の保存食ですが、食べきれないものや、重しがききすぎたもの、酸っぱくなったものなどを細かく刻んで塩抜きし、なんば(赤唐辛子)と一緒に柔らかく煮たものが「たくあんのふるさと煮」です。手間ひまかけたぜいたくな煮物で、「大名煮」「ぜいたく煮」とも言われます。
材料(4人分)
 たくあん  2本  酒  大さじ 2
 赤唐辛子  1本  しょうゆ  大さじ 4
 煮干し  15g  砂糖  少々
作り方
1. たくあんを洗って小口切りにし、半日ほど水にさらして塩抜きする。
2. 塩抜きしたたくあんを、たっぷりの水で煮出す。
3. 一度煮汁をきり、再び浸るほどの水と煮干しを入れて煮る。
4. 煮立ったら弱火にし、煮干しを取り出して15〜20分煮る。
5. 酒、しょうゆ、砂糖、赤唐辛子を入れて煮含める。

えびす寒天

器 中村久一
お正月や秋祭りなどに作られる卵の寒天寄せで、今で言うデザートのプリンのようなものです。南加賀地域では主に砂糖と塩で味付けし、しょうゆであまり色付けせず、白っぽく仕上げることが多いです。「べろべろ」「えびす」「はやべし(早柚餅子)」などと呼ばれることもあります。
材料(4人分)
 寒天  1本  砂糖  100g
 卵  1個  濃い口しょうゆ  小さじ 1
 水  500cc  塩  適宜
作り方
1. 寒天を細かくちぎり、水に30分つけておく。
2. 卵をよく溶きほぐす。
3. ちぎった寒天を中火で良く煮溶かし、調味料で味付けする。
4. 溶いた卵を細く流し入れ、ひとまぜして火からおろす。
5. 粗熱をとり、流し箱に入れて冷やし固め、適当な大きさに切る。

柿の葉ずし

器 山本長左
お祭りやお盆など、人が集まる時に作られる押しずしです。柿の葉は手に入れやすいので夏から秋に良く作られますが、6月頃の若葉を使ったものは香が強くて独特の風味があります。すし種に塩ます、塩鮭などを使ったり、魚以外に油揚げやしいたけの含め煮を用いることもあります。すしの上の飾りには、レモンのいちょう切りや山椒の葉などを色どり良く使うなど、家庭によって色々な工夫が見られます。
材料(4人分)
 米  320g  塩ます  250g
 水  430g  しめ鯖  120g
 酒  20cc  柿の葉  20枚
 合わせ酢  酢  45cc  桜えび  40尾
 砂糖  20g  しょうが  1かけ
 塩  6g  青藻  少々
 いり黒ごま  適宜
作り方
1. 米を洗って分量の水と酒を加えて炊く。
2. 炊きあがったら合せ酢を混ぜる。
3. しめ鯖の薄皮をとり、20切れにそぎ切りにする。
4. すし飯で直径3cmほどのおにぎりを20個作る。
5. 柿の葉をきれいに洗って、布巾でふく。
6. 柿の葉の上にしめ鯖を一切れ置き、4のすし飯をのせる。
7. もどした青藻、針しょうが、桜えび、黒ごまなどをのせる。
8. すし枠を割り酢(酢と水を同量)でぬらす。
9. すしを並べて柿の葉をかぶせ、押し蓋、重しをして5時間以上おく。

きしず

器 山本長左
法事やお葬式のときの精進料理で、刺身がわりのものです。丹念にすりこんだ「きしず(たれ)」のゴマだれの香ばしい香が、それぞれの材料の持ち味を引出します。具をきしずにつけて食べますが、具と混ぜて出すこともあります。白色のくずきりを使う事が多いですが、赤色と白色、青色と白色を組み合わせることもあります。また、くずきりのかわりに春雨を使うなど、各家庭でいろいろ工夫されます。
材料(4人分)
 くずきり  20g きしず(たれ) 
 ゆば  3枚  白ゴマ  20g
 きゅうり  1本  木綿豆腐  1/2丁
 にんじん   中1/3本  白味噌  30g
 生わかめ  20g  酒かす  30g
 すだれふ  1枚  こんぶだし汁  60g
 こんにゃく  1/2丁  酒  20g
 干し椎茸  4枚  砂糖  12g
 下味用調味料  砂糖  3g  塩  2g
 しょうゆ  8g  
作り方
1. くずきりを透明になるまでゆで(水にさらさない)適当な長さに切る。
2. ゆばをぬるま湯につけてもどし、生わかめをさっと湯に通す。
3. ゆば、生わかめ、きゅうりを千切りにする。
4. きゅうりを水にさらし、こんにゃくを薄く切る。
5. すだれふ、もどした干し椎茸、にんじんを千切りにする。
6. 干し椎茸のもどし汁と下味用調味料で5を煮て下味をつける。
7. 白ゴマを炒って油がにじむまですりあげる。
8. 7に水きりした豆腐、白味噌、酒かすを加えてすり、こんぶだし汁(熱湯を冷ましてから、だしこんぶをつけたもの)を加えて裏ごしする。
9. 酒を鍋に入れてさっと火にかけ、アルコール分をとばす。
10. 8と9に砂糖、塩を加えて混ぜる。
11. 具をきれいに盛り付ける。(たれと具を混ぜても良い)

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