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食と工芸プロジェクト

3年の成果を市長報告 食と工芸プロジェクト

加賀商工会議所の食と工芸プロジェクト(=丸谷誠一郎代表)は、2月25日金プロジェクト(以下=PJ)の成果を、大幸加賀市長に報告した。同PJは平成14年から16年度までの3年間、中部経済産業局の補助をうけ活動を進めてきた。会議所に事務局をおき、会員から異業種およそ20名が活動。目的としては地元の食、工芸、うつわや地元の伝統食を地域に普及し、定着を図ることによる、交流人口の拡大。メンバー同志の交流から商品開発や素材の供給が派生した。
 ほか、ホームページの開設や、記念グッズの開発、生産者と消費者との食事を交えた交流、ポストカードやリーフレットの制作などを行った。活動も終盤を迎え、PJの幹部が市役所へ説明に出向き、ホームページ(HP)を操作しながら一連の成果を市長に解説した。伝統や自然文化による観光や交流人口の拡大に、理解と実行で加賀の方向を示す大幸市長は、報告をうけとりわけHPに関心を示した。「学校現場での教材として、これだけ網羅もうらした資料はなく、農協・ 漁協の関係者にも有益な情報となる」と関係する部署に早速、指示を飛ばしていた。

ホームページ

大別して山・ 田畑・ 海に、1年を通じて加賀で食べることのできる食材や旬、魚介の呼称や写真を、分類整理したHP「食材ナビ」。加賀山中で活躍する陶磁器・ 漆器の作家や職人の情報、そのうつわで食せる店などを紹介したHP「工芸ナビ」。2本立てのナビゲーションで加賀の食・ 工芸情報を、横断的に集約した。

グッズ

新成人に贈る記念品を、地元作家からコンペで募り、二十歳の代表が自ら選ぶ試みを実施。昨年は陶器のハンコ「陶印」に決定し、新成人約650名に名前を入れ手渡し、全出席者が持ち帰った。その後、金沢21世紀美術館からミュージアムグッズ候補としたい旨の打診があるなど好評を博した。ほかにも漆器とガラスなど異素材の組合せによる新たな小物を開発し、順調な売れ行きを示す。
 実践工芸作家と一般消費者がテーブルを囲み昼食を共にする「実践レストラン」事業では、地場の食材と当地のうつわを多用する飲食店を「実践」と定義。日ごろ交流が少ない工芸家の日常や、ものづくりの思いを聞き、地元食材による昼食を楽しんだ。

印刷物

 変形A3の3枚つづりで両面カラーのリーフレットは、加賀の風土や工芸・ 食文化をコンパクトに濃縮して表現した高い完成度を自負。
 ポストカードも四季を9枚ずつ、計36パターン作成。市内旅館のフロントに設置するとともに、平成17年12月に予定している銀座松屋での「吉田屋窯」特別展でも配布を予定する。

 PJ発足以前の2年、そして3年、足かけ5年の活動を通して得た大枠の感想を、丸谷代表は「協同組合や同業のしばりにいては、限界という結論に至った」と話す。「とくに戦後の食糧難政策から、管理の大枠に変化のない農産物では、低農薬などに配慮する生産者は、有機・ 減農薬など個人の努力も、集約して出荷する現行システムに、意味をなさない。正直な作り手に光を当てる試みとして本PJを組織し、ここに一定の成果を出すことができた。これからも食材やうつわにおいて、商工会議所が正直な作り手をつなぎ、工芸作家や飲食、旅館をも巻き込んで会議所らしい付加価値をつけ、商品化する。これにより加賀の観光業や飲食店にとって、真の地元循環型のブランド戦略」とくくった。山本孝副代表(山本長三陶房)は「全体の底上げよりも、志ある者が手を組み新規商品やサービスを作り出し、売上げを伸ばす形が今後の主流となるのは必至」とまとめた。「この日だけ特別にやった」ではなく「いつでも地域を念頭に実践している姿勢」こそ大切とした。

 遠来の客に感動と、再訪したい気持ちを起こさせる商品提案の鍵は地元にある。
 加賀らしい文化的な営みを提案し、PJは活動に一応の区切りをつけた。なお組織は完全解消とはせず、地域活性化特別委員会の課題のひとつとして、次年度以降に引き継がれる。

食材・うつわ・”本物”を発信「実践レストラン」に200人

 加賀の食と工芸プロジェクト(以下‥PJ)では「うつわを食す〜実践レストラン」を2会場で開き、のべ約200名が参加した。9月13日から17日には片山津ホテルアローレで、10月3日から7日にかけては山代あらや滔々庵で各5日間にわたり開催した。今回は昨年までの実験レストランと異なった新たな切り口とし、第一線で活躍する作家を中心に、加賀の食材や工芸の独自性を、参加者と対話し食事を交えながら展開した。眺望が自慢の広い空間を舞台に、秋の旬を創作料理に表現し、斬新なうつわとの取り合わせで、加賀の食とうつわを提案したアローレ。時を経た空間を舞台に、深まる秋の味覚を代々伝わる漆器や大聖寺伊万里といった本物に、当代の作家が作り出す最新のうつわをコーディネートさせた、あらや。個性もスタイルも異なる2つの会場に参加した人々の多くは「今回を機会に地元の食を知り、家にしまってある漆器や九谷に料理を盛る楽しみや、本物を使う心のゆとりをも含めて、日常の食生活にとりいれていきたい」と、食のスピード化においてなおざりにしてきた、現代の食をめぐる本質を感じ取っていた。
普通の食事会とは一線を画かくし加賀の食・工芸の再発見を鍵に、PJでは準備を進めてきた。加賀で活躍する陶磁器や漆器の作家10名と、山中漆器伝統工芸士会が、実験的な試みの趣旨に賛同。作家からPJに対して、まず器が提供された。それら器を各料理長に預け、自店の手持ちともあわせて、季節・旬や料理、さらには空間とあわせて両会場は総合コーディネートした。期間中は、作品を提供したゲスト作家を日替わりで招き、作品のみどころや製法、ものづくりに携わる生活や制作への思いなど、うつわをとりまく話題を食事を共にして展開した。
アローレでは、レストラン「三匹の仔豚」が器に合わせた和洋折衷のコース料理を企画。料理は小袋こぶくろ靖史やすし氏が担当した。オードブルにハタハタのいしる漬け瞬間燻製くんせい、ヤナギバチメに柴山産トマトを使った料理など、皿の絵を損なわないソースの色、料理法や盛り付けに至るまで工夫を凝らし提供した。参加者からは「器がいいと料理が映える。
演出が大切」、「今日をきっかけに器の楽しさ、器の美味しさを知った」など感想が寄せられた。
あらやでは、いちじくの吸物、合鴨を使ったワインと洋わさびで仕立てた治部煮じぶになど、旬を感じさせる新たな味覚が、異なる器で各人に供された。干菓子盆として用いる漆器にお造りを盛り、醤油と天然塩どちらかを好みで付けて食するなど自由な発想に、参加者からは「色んな器があり、どんな食器にどんな料理を盛りつけるか、隣の人のうつわも見て楽しめた。同じ料理でも器や盛りつけかたで違った感じを受けた」など、加賀ならではの味とうつわを堪能した。
「漆器は扱いにくい器という思いは、今日を機会に捨ててほしい。漆の堅牢けんろうさ、粘り、時を経ることで現れる艶や味わいなど、陶磁器よりはるかに昔からの歴史を持ち、むしろ汚れをよせつけにくい器といえるのが漆の器」と漆器の小谷口こだにぐち隆たかし氏が語り、また「個々の家庭で使うことで、生活のゆとりを感じ、食事が一層おいしく感じる。そして地元の産業にもプラスになる」と陶芸家苧野あさの憲夫のりお氏が本物のある暮らしを提案。作家からのメッセージに参加者は、加賀の工芸と食材の多くを新・再発見した。
同PJでは「一般参加者へのPRも大切だが、料飲業界や観光業に携わる経営者や料理人いわゆるプロに対するアプローチを、今後は考えていき、当地の優れた食材やうつわを作る産業を、地場で消費することで支え経済循環を作り出し、経営の安定と地域間競争を勝ち抜く『加賀ブランド』へと、育てていきたい」と展望している。同時に、旬の素材と地元のうつわを使い、供することで加賀の食文化に貢献しうる店舗を加賀・山中から募集し、次回の実践店として企画したいとしている。

■問合せ
加賀の食と工芸プロジェクト加賀商工会議所内73−0001

「うつわを食す」実践レストランのご案内

漆器や陶磁器、染織、木工など加賀市・山中町を中心とした地域には、諸工芸が集積しています。
工芸に携わる人々や工房、美術館やギャラリー、お店、食事処や旅館は経済・文化的にも重要な役割を果たしています。
質の高い工芸情報を多面的に調査し、将来の方向性を考えるなかで、地元食材や飲食サービスなども含め「加賀の食と工芸プロジェクト」へと活動は発展しています。今回は諸作家から提供された器を使い、地の食・工芸づくしで“実践”的「期間限定ランチ」を展開します。作家から提供された器を、各店は手持ちの器や料理・空間とあわせ「総合コーディネート」します。
期間中は日替りでゲスト作家が訪れ、参加者と同じテーブルで食事をしながら、お話を楽しめます。
加賀の工芸と食材の新発見・再発見をぜひこの機会に。ふるって参加ください。

第1回

日時 9月13日月〜17日金5日間いずれも12:00〜2時間
場所 ホテルアローレ「三匹の仔豚」
料金 3,500円(税・サービス料込)
定員 各日20名(定員になり次第締切らせていただきます。)
料理内容 秋の地元の味覚を用いた創作料理
申込み・問合せ ホテルアローレTEL75-8000
申込締切 前日まで可

第2回

日時10月3日日〜7日木5日間いずれも12:00〜2時間
場所 山代温泉あらや滔々庵
料金5,250円(税・サービス料込)
定員各日20名(定員になり次第締切らせていただきます。)
料理内容 橋立港の魚介を中心とした美器佳肴かこう
申込み・問合せ あらや滔々庵TEL77-0010
申込締切 9月30日木

うつわ・工芸品の提供者(50音順/敬称略)
・旭泉窯苧野憲夫(野田町松ヶ丘)75-3246
・金明窯池島保雄(野田町松ヶ丘)75-3210
・漆工芸大下香仙工房大下宗香・香苑(二子塚町)77-5250
・たに屋小谷口隆(別所町)77-1441・種本章(別所町)77-0800
・久窯中村久一(栄谷町)77-2342
・漆喜楽中村康彦(別所町)77-4379
・磁器工房白象山下一三(片山津町)74-1731
・山本長左陶房山本孝(伊切町)74-5437
・山中漆器伝統工芸士会(山中町塚谷町)78-1696