北陸を代表する温泉地である加賀温泉郷には山代温泉、山中温泉、片山津温泉、粟津温泉と4つの温泉地があります。
各地そぞろ歩きが楽しいスポットがたくさんありますが、中でもここ山代温泉の中心街はノスタルジー溢れる趣深い“湯の曲輪(ゆのがわ)”という歴史的街並みが魅力。
明治時代の源泉かけ流しの共同浴場を再現した「古総湯」の前にある、紅殻格子の木造平屋建の交流施設「はづちを楽堂」を今回はご紹介します。
ー「はづちを楽堂」という名称の由来
”はづちを”は、山代温泉開湯1300年の歴史を見守り続けてきた服部神社の神様「アメノハヅチヲノカミ」から。”楽堂”は、 文化や芸能を楽しみ集い交流するところとして、加賀藩ゆかりの総合芸術家で狂言師の故野村 万之丞 氏が命名されたのが由来だといいます。
地元食材や地元作家の器などを使用したカフェ「はづちを茶店」、伝統工芸品等を展示・販売するみやげ処「丹塗り屋」、サークルや研修を行う「寿座」の3棟があるこの複合施設を運営するのは特定非営利活動法人です。
山代温泉の活性化を考える地元商店の若手経営者らからなる組織ならでは柔軟な発想により、地域住民や観光客が交流できる朝市やコンサートなど様々な機会を提供しています。
※新型コロナウイルス感染症の状況により、現在は朝市やコンサートの開催を控えています。その他のイベントもやむを得ず変更となる場合がありますので、「はづちを楽堂」のFacebookやInstagramでご確認下さい。
ー賑わう丹塗り屋の店内
コロナ禍で観光客の減少は否めないものの、取材当日は雨にも関わらず修学旅行生で賑わっていたはづちを楽堂。
そう、実は山代温泉界隈は修学旅行先として今アツいんです。
理由は過去に当所会報誌の特集でも紹介しているので、よろしければコチラを御覧ください。
雨に濡れる学生たちを見て、店長の坂口 雅美さんは「雨宿りでもいいので気軽に立ち寄ってもらえれば」と気さくに案内されていました。
土産品が並ぶ「丹塗り屋」の店内は、手ぬぐいなどのお手頃価格の日用品や雑貨のほか、お店の奥には地元工芸作家の作品も展示販売しています。
ひときわシックな空間に展示されている工芸品は、地元作家の作品の中でも飾っておくというより普段使いできるものをセレクトして置いているそう。
伝統工芸の九谷焼では、苧野 憲夫 氏、苧野 直樹 氏、山本 長左 氏、伊豆蔵 幸治 氏、嶋田 寿楽 氏、池島 保雄 氏、浦 陽子 氏、山下 一三 氏、九谷美陶園の作品が並んでいます。
その他、同じく伝統工芸の山中漆器で山谷 尚敏 氏の作品や、ガラス工芸作家 秋友 騰尊 氏のもの、 我谷盆まで様々です。
丹塗り屋の店外には、こんなご当地ガチャガチャまであって、楽しんで見て回れるのがいいですね。
ーアイドル文化を活用した地域振興
もちろん、学生さんたちだけでなく観光客もたくさん!
その中に、「モーニング娘。’21の加賀 楓さんが訪れた加賀の聖地巡礼旅で来ました」というお客様に出会いました。
今加賀市では加賀温泉郷とHELLO! PROJECTがコラボして企画した「加賀楓温泉郷 まち歩きスタンプラリー」が開催中。※スタンプラリーは12/26まで
店員さんに「かえでぃー(加賀 楓さんの愛称)が先日このお店に来た時はどこを歩いて何を食べていったんですか?」といった質問をしながらスマホで撮影しながら商品を購入していくファンの方々。実はそう珍しくはないそうです。
2018年、2019年と加賀温泉郷協議会から、2020年には加賀市から観光大使に任命された加賀 楓さん。名字に「加賀」と入っていたことがきっかけだったといいます。
ファン心理に寄り添った加賀市の観光戦略が功を奏し、今や経済効果もすごいんだとか。
ー地元作家の器などで戴く喫茶メニュー
丹塗り屋を出て、向かいの「はづちを茶店」へ。
風情ある囲炉裏席をはじめ、遊び心ある感染防止用のパネルも楽しい店内。
喫茶メニューは数あれど、まずオススメしたいのが、先程の丹塗り屋に並んでいた作品の作家さんたちの器を使った「加賀珈琲ラテ」と「加賀棒茶ラテ」。
香り高い「加賀珈琲」と芳ばしい棒ほうじ茶を使った「加賀棒茶」は、それぞれ平松牧場の新鮮な牛乳で作っているという、まさに地産地消メニューなんです。
地産地消メニューと言えば、吸坂飴や加賀九谷野菜など地元食材を使用した5層のパフェ、「加賀パフェ」も見逃せません。
加賀市などがすすめている観光事業によって生み出された加賀パフェは、市内6つの提供店でそれぞれオリジナルのものが味わえます。同店の最新バージョンの加賀パフェでは、山代温泉の原湯発祥のいわれが残っている八咫烏(やたがらす)をモチーフにしたトッピングが特徴となっています。
写真をご覧になってお気付きになられた方もいらっしゃると思いますが、こちらのメニューにも地元工芸作家のものが使用されています。
・パフェグラスの皿とソースカップ/九谷焼
・お盆/山中漆器
・棒茶コースター/加賀手織
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今回は丹塗り屋と茶店を中心にご紹介しましたが、イベントや教室などで使用することが多いもう1つの建物、「寿座」も和室があったりピアノがある板の間があったりと、とても素敵な空間なんです。かわら版やSNSの情報をチェックして、都合が合えばここで行われるイベントにも是非参加してみて下さい。(直近では1/29に手前味噌教室が開催予定です)
加賀商工会議所のマスコットキャラクター商子ちゃんが伝える、
「PLUS ONE!」情報のコーナーです☆
NHKの朝ドラに影響されて、やたら「あんこ」に目がいく今日このごろ。
今回のPLUS ONEは、はづちを楽堂の茶店で人気の「草もちぜんざい」をご紹介しようと思います。
実はこちらのぜんざいは、「れんの羊羹」で有名なお隣のれん永昌堂さんが丁寧に炊き上げたもの使用されているそうです!以前からやたら美味しいなぁと思っていたのです!贅沢ですね~。
それに、手摘みのよもぎを入れた草もちを香ばしく炭火で焼いて入れているという手の混んだ一品これに加賀棒茶も付くので、加賀の味を満喫できるのではないでしょうか。
ぜひ!!
ー取材メモー
はづちを楽堂 ( 特定非営利活動法人 はづちを )
住所 石川県加賀市山代温泉18-59番地1
TEL 0761-77-8270
営業時間 9:30~18:00(冬期11月~2月は~17:00迄)
定休/水曜(祝日の場合は営業)
※新型コロナウイルス感染症対策の状況により、営業日・営業時間が変更することがございます
はづちを楽堂★☆HPはコチラ☆★