ー花詰技法とは
「花詰技法」とは、輪郭を煌びやかな金などで彩色した四季折々の花模様をわずかな隙間にも丁寧に敷き詰めるように器に描く、九谷焼を代表する伝統技法のひとつ。明治の終わり頃から大正時代にかけて生み出された九谷焼の技法です。
その手間がかかる緻密さ故、最近では花詰を手描きする作家が減少。転写シールやハンコで代用するところも増えてきた中、手描きの花詰技法に魅せられた若手九谷焼作家の鈴木 朋子氏を今回はご紹介します。
豪華で目を引く牡丹や菊から可愛らしい小花で描かれることが多いこの柄は、日本らしいデザインの一つで海外の方にも人気です。
「だいたいのデザインを決めてから筆を入れますが、絵のバランスを見ながら『この辺りにこの色のこの花が欲しいな』と思ったら描き入れます」と、鈴木氏。焼くと色が変化する和絵具と、発色が綺麗で焼いても色の変化が少ない洋絵具を上手く使い分けながら、上絵を描いては焼き、描いては焼き…を2~3回繰り返して仕上げます。
ー志したきっかけ
そもそも、鈴木氏がこの業界に興味を持ち始めたのは地元北海道の大学に在籍していた頃。
元々絵を描くのが好きで、図書館で様々な絵柄が描かれた器や壺が掲載されている図鑑ばかりみていたそうです。
そんな中で一番心惹かれたのが花詰の画風でした。
この技法を学びたい!と職人の道を志した鈴木氏は、石川県の九谷焼、京都府の京焼、佐賀県の伊万里焼といった色絵技法で有名な産地の中でも一番自由度があると感じた九谷焼の世界に入ることを決めます。
2年間、石川県立九谷焼技術研修所で学んだ後、問屋勤務を2年半経験し、2010年に独立。現在は市内にある自宅で作陶活動を続けています。
ー轆轤も絵付けも自分で
鈴木氏はご自身で轆轤から絵付け、焼き上げまで一貫してされています。
自宅の一室にある絵付け場を見学させていただいた後、裏庭の別棟に作られた轆轤場と窯場へ移動。
すると、なんとこちらも伝統の型打ち技法を取り入れていらっしゃるではないですか!型打ち技法は現在、加賀九谷陶磁器協同組合の若手組合員の有志の方々も一生懸命継承のため技を磨いているというあの技法です。
転写などと同じく、量産のための型打ちと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、加賀の職人たちが目指す型打ち技法は全く違います。 轆轤びきした生地を素焼きの型にはめて形成する型打ち技法には、表面を滑らかに形どる技や薄い素地を型から外す熟練の技術と手間が必要。
花詰技法と同じく、その技法を継承する人は少なくなってきています。
いちから作品を仕上げるのにかかる期間はおよそ2~3ヶ月。
それでも鈴木氏が花詰にこだわる理由は、「華やかな花詰の魅力を次の時代にも伝えたい、現代に合わせた伝統工芸として若い人にも興味を持ってもらいたい」という思いから。
時間と手間をかけてでも伝えたい魅力。
一人でも多くの方に感じ取ってもらえたらと思います。
加賀商工会議所のマスコットキャラクター商子ちゃんが伝える、
「PLUS ONE!」情報のコーナーです☆
華窯の鈴木氏は、ご自宅でも昔作った自作の器などをティータイムなどに活用することがあるそうですよ♪
華やかで可愛くて癒やされる時間になりそうですね~。
写真奥に写っているティーカップも素敵!
ー取材メモー
hanazume 華窯
鈴木 朋子
※自宅につき住所非公開、電話またはメールにて事前に要問合せ
Mail/ha7zume.k@gmail.com
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