職人のまち加賀

食/五感で味わう加賀棒茶/丸八製茶場 にフォーカス!

ー地元に愛されるお茶といえば

昭和天皇が好まれた茎のほうじ茶、「献上加賀棒茶」で有名な丸八製茶場の本社がここ加賀市動橋町にあります。

こちらの駐車場に降り立った際、是非やってみてほしいのが”深呼吸”です。

本社には製茶工場が併設されているため、芳ばしいお茶の香りがスゥっと体内に入ってきて自然と気持ちが落ち着いてくるので不思議です。

”お茶といえば丸八さんの加賀棒茶”と答える方が多いほど地元からも愛されているこちらのお茶は、日常生活で気軽に飲まれることもあれば、特別なおもてなしの場でのお茶として。大切な方への贈答品としてもニーズがあります。

芳ばしい香りに包まれている丸八製茶場

本社併設の店舗「実生(みしょう)」に入ると真っ先に目を惹いたのが、鮮やかで斬新なパッケージの「焙茶noma(ノマ)」

「焙茶noma」は季節のうつろいにあわせて、年4回販売される旬のほうじ茶シリーズ。

この日並んでいたのは、2021年9月1日に新発売されたフルーティーな香りにほのかに甘い味わいのほうじ茶です。

実生の販売エリアにはさまざまな日本茶が並びます
毎年秋に販売していた「印雑焙茶マリコロード」が
「焙茶noma」に生まれ変わりました

店内には他にも献上加賀棒茶はもちろんのこと、湯呑1杯で気軽に本格的なお茶が味わえるティーバックの「加賀いろはテトラシリーズ」も並んでいます。

九谷焼のブランドKUTANI SEALと一緒に作った
「加賀いろはテトラシリーズ」

ー文化・芸術を楽しめるギャラリー空間

その販売エリアの右手奥を進むとあるのが、ギャラリーと喫茶です。

ギャラリーでは主に、九谷焼や山中漆器、我谷盆といった地元の作家をはじめ、アート、花、書など幅広い文化に触れることができる展示会が定期的に開催されており、毎回訪れる度に新しい刺激があります。

美しい中庭を望む広々としたギャラリー(画像は九谷焼の展示会があった時のもの)

取材時は、富山県の陶芸家 前川 わと氏の個展が開催中でした。 (現在は既に終了)

天井にまではわせた装飾用の蔦に、まるで実ったかのように吊り下げられた小さな花器。ガラス窓から見える開放的な中庭とマッチした展示物の配置にライティング。ギャラリーの空間全てが工芸とマッチしたアートでした。

作家さんがちょうど在廊中だったのでお話しを伺うと、「コロナ禍で展示会の中止が相次いでいたなかお声掛けいただき、自分を表現した作品を見ていただける場を設けていただけたことが嬉しいです」と語って下さいました。

ネットで簡単に作品が見れるようになった現代であっても、お客様と顔を合わせながら作品を手にとってもらえる機会はとても貴重であり、制作意欲にも繋がるとのことでした。

前川 わと氏の作品

ープロがいれたお茶を味わう

奥の喫茶エリアでは、お好みのお茶とお菓子がセットで500円(税込)でお楽しみいただけます。

お茶は献上加賀棒茶、ほうじ茶、抹茶、玉露、一番摘み煎茶から。(※夏季のみ冷煎茶、冷抹茶)

お菓子は季節の和菓子またはロールケーキから選べ、自由に組み合わせられます。

なんといっても、日本茶インストラクターの資格を持つ喫茶スタッフさんがいれてくれたお茶を季節やお客様に合わせ、器にもこだわって提供してくれるのが魅力です。

お茶とお菓子のセット

ー1日1組限定。

ほうじ茶の茶室「双嶽軒」にみるアートな世界

丸八製茶場の6代目で代表取締役の丸谷 誠慶 氏いわく、「作法は特に必要なく、楽しみ方は自由。お茶を通じて気持ちを切り替える場所として誰でも気軽に利用してほしい」と、 2019年7月に同社の敷地内につくったのが茶室「双嶽軒(そうがくけん)」です。

茶室名にある「双嶽」は、2つの山からなる地元で愛される鞍掛山が由来だそう

建物を入ってすぐの1つ目の空間は、グレーを基調とした無機的なラボ空間

お茶を焙じる前後の味比べから始まります。

一緒に焙煎体験ができるので、楽しみながらお茶について学べます。

本社工場の焙煎職人が直接説明に立つこともあるというラボ空間

その奥のにじり口のような引き戸を進むと2つ目の空間として現れるのが、まるで”繭”に包まれているかのような角のない有機的な茶室です。

加賀棒茶を練り込んだ土壁はほんのり茶色で近づくとどこか芳ばしい香り。お茶をいただく空間として心が凛としました。

吸い込まれるような高い天井の茶室

こちらでは、上の写真のように喫茶スタッフさんがゆったりと3種のほうじ茶を順にいれてくれます。

夫々のあては季節ごとにかわりますが、どれもお茶とマッチしていて最高のひとときを過ごせます。

(※1組1時間でひとり2,000円)

ある日のほうじ茶とあて

ー空間にマッチしたこだわりの家具

双嶽軒にある家具は、加賀市内でオーダーメイド家具工房をかまえるNEUTRALに依頼した職人たちの手仕事により生まれたものだそうです。

NEUTRALにオーダーした家具たち

「茶室に合う、立礼棚、建水台、椅子、ベンチ、サイドテーブルを作って欲しい」という丸谷社長からの制作依頼に対し、NEUTRAL代表の濱田 健慈 氏は、”自然素材を使った、柔らかくも洗練された双嶽軒という空間を活かせる家具づくり”を意識して制作したそうです。

特に、丸八製茶場さんの新しい事業と、古くからの日本の心を織り交ぜた表現をしたいと、無垢材の質感と無駄のないデザインにこだわったといいます。

中でも一番想い入れのある家具は、お点前用の立礼棚。

木材は、日本で古くから神事などに使用される梓弓などに用いられてきた「梓(別名:ミズメザクラ)の一枚板を使用したそうです。

一枚板の自然な割れをそのまま使い、
「点と点がつながり線になり、それがやがて面になる」
という意味をデザインに込め、ミズメザクラの縮み杢が持つ、宝石のようなキラキラした光沢の美しさを引き出すため、仕上げの磨き作業にこだわり、徹底的に丁寧に行ったといいます。

制作期間はおよそ4ヶ月。

完成したオーダー家具はお茶を最高なかたちで楽しめるアートな空間を演出してくれています。

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お茶✕工芸(クラフト)✕美術(アート)。

私たちの生活に寄り添う身近なお茶でありながらも、奥深いお茶の世界に上手くクラフトとアートに調和させた、五感で楽しめる丸八製茶場。

最寄りの際は是非お立ち寄りいただきたい場所の一つです。

加賀商工会議所のマスコットキャラクター商子ちゃんが伝える、

「PLUS ONE!」情報のコーナーです☆

双嶽軒の茶室の写真に写っていたこちらのオシャレな青い障子、お気付きになりましたか?

実は、青写真の技法を用いて鞍掛山を雁皮紙に転写した障子なんですって!

よ~く見ると、青い障子の下部にある濃い青色のライン上に、ポコポコっと2つの山のようなかたちは確かに鞍掛山のようです。

茶室名にある「双嶽」も、地元で親しみのある鞍掛山からきているそうですよ。

なんでも、丸谷社長の亡きお祖母様の家に、かつて小松城の廃材を利用して建てられたという2棟の茶室があったそうで、その茶室の丸窓から鞍掛山が望めたそうです。

「移築してもその2つからなる山のイメージは残したかった」という丸谷社長。

茶室名やこの障子、そして双嶽軒の2つの空間は全て、優しい想いからきていると知ると、よりお茶の温かさが心に沁み渡る気がしました。

ー取材メモ-

丸八製茶場 実生

住所 石川県加賀市動橋町タ1番地8

TEL 0120-42-4251

営業時間 物販・ギャラリー/10:00~17:00

     喫茶/10:00~12:00(L.O.11:30)、13:00~16:30(L.O.16:00)

定休日/水曜日

※双嶽軒は1日1組限定で完全予約制(11:00または14:00)

不定期オープンのため、最新情報は電話でお問い合わせ、

またはInstagram(@maruhachi_sogakuken)よりご確認下さい。

★☆HPはコチラ☆★

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